近くを見続けるのが苦手な人は意外に多い
スマホ、タブレット、パソコンなど最近はとても近くを見ることが増えました。仕事、趣味で近くを見たいのに、見続けていると眼が疲れる、頭が痛い、首、肩の凝りがひどくなった・・・などなど様々な症状を訴える人が増えています。「スマホ老眼」なんて言葉もできたくらいです。
それくらい近年は近くを見続ける機会が増えましたし、またその分眼に負担がかかっています。
これは僕の勝手な推論ですが。
人類が誕生して600万年経っているそうです。それ以来狩猟民族だった人類は遠くを見ていれば良かったのです。人類が近くを見るようになったのは紙の起源になるパピルスが発明されてから。それが西暦0年くらい。つまり人類が近くを見るようになったのは人類歴史600万年のうちのたかだか2000年なんです。2000年で人類はそう進化していません。まだまだ遠くを見るための眼なんです。これが後数千年すれば近くが見やすい眼の人類がでているかもしれませんが、今はまだなんです。
近くが見えなくて、近くを見るのが苦手で当たり前です。でも見ないといけない。なのでメガネのお世話になりましょう。
いかがですか?学術的根拠は今風に言うならエビデンスは何もありませんが、案外あったっていると思いませんか?(^0^)
遠近両用メガネに慣れるためのちょっとしたコツ
遠近両用メガネは慣れにくいと言われる場合があります。確かにそうです。でも慣れてしまうととても便利なメガネで、もう単焦点レンズには戻れません。
慣れるためのコツとしては色々あるのですが、一番効果が分かりやすいのが
視線をメガネの中心付近を通すこと
です。
遠近両用メガネはレンズ周辺部になるほどゆれ、歪みが大きくなります。言い換えると中心部ではそんなに歪まないのです。
実際の使い方としては横を見るときに
上の写真はレンズの周辺を使って周辺を使って横を見ています。こうではなく、
こうすることによってレンズの中心を使って横を見ます。
また不具合で一番多いのは下りの階段が怖い、です。下の地面を見るとき、目線を下げて下を見ると遠近両用では近くにピントが合っており、地面=ちょっと遠くはぼやけてしまいます。
こんな感じだと、地面はぼやけています。
ここではぐっと顎を引いて
こうして下を見ることで地面がぼやけずに見えます。階段もぼやけません。
側方、下方どちらにも言えるのですが、首を動かすことです。
人にはくせがあって横や下を見るときに目線を動かす人、首を動かす人、両方をする人とそれぞれなのですが、遠近両用メガネに慣れないうちは意識して首を動かして下さい。これだけでもずいぶん変わりますよ(^0^)
改めて、あなたの老眼度チェック
遠近両用メガネを考えている方は当然老眼です。メガネをかけている、かけていないにかかわらず遠くは見えるけど、手元が見えない。これが老眼です。
最近ではスマホやタブレットを見る機会が増えています。特にスマホは眼からの距離が他の物と比べて近くなりがち。見るモノが近くになればなるほど見づらくなります。「スマホ老眼」って言葉もあるくらいです。スマホの見過ぎには注意しましょう(^0^;)
さて、自分は老眼なのかどうなのか、改めてチェックしてみましょう。
- 本や新聞を読むのがおっくうになった
- スマホや本を以前より離して見るようになった
- スマホの文字の大きさを調整している(大きくしている)
- 夕方になると疲れてくる
- 3と6、0と6、など数字を読み違える
- パソコンの画面を見ることが多い
- 食品の賞味期限などが読めない
- 商品タグが読めない
- 近くを見続けていてパッと遠くを見るとすぐにピントが合わない
- 近視の人が近くを見るときにメガネを外す
- 手元の作業が長時間続かない
- アイメイクがやりづらくなってきた
- 肩こり、頭痛が慢性的にある
さてさて、何個当てはまりましたか?3つ以上あればほぼ間違いなく老眼だと思われます。
老眼鏡を買うタイミングはいつ?と良く聞かれるのですが、ずばり
近くを見るのに不便を感じたら
です。上記項目が3つ以上当てはまるのなら正直困っていますよね?(笑)
メガネに対する抵抗はあるかもしれませんが、遅かれ早かれ老眼は進みますのでいずれお世話にならないといけないのです。なら早いほうが絶対に慣れやすい!しかも早いうちなら結構見える範囲も広いと良いことずくめです。ですのでメガネ屋さんに行きましょう(^0^) 早いうちなら老眼鏡でも遠近両用どちらも大丈夫だと思いますよ。
遠近両用メガネは年齢の早いほうが慣れやすい
遠近両用は遠くから近くまでが見る事ができるとても便利なメガネです。老眼世代の人にとって慣れればもう手放せなくなるでしょう。また中近メガネとか近々メガネなどのメガネにもスムースに移行できます。
ところが巷では、慣れなかったとか、買ったけど使っていないなど、淋しい現実もあります。確かにメガネ屋の技術や経験不足でそうなることもありますが、あえて悪者にさせて頂くと、かけられなかった原因のすべてがメガネ屋であるというのも少し違うと思うのです。慣れなかった原因がお客様の場合もあります。
正確には遠近をかけ始める年齢です。老眼はご存じのように45才過ぎから現れ始めます。それからはどんどん手元が見にくくなります。最初の頃は100円均一の既製老眼鏡で間に合っていたけど最近はそれでも見にくくなってきた・・・・でもメガネ屋に行くのが面倒、それ以前にメガネをかけるのがイヤ、汗をかいたらズレたりする。重い。煩わしい、恥ずかしい、老眼と思われたくない・・・とメガネに対する抵抗でなかなか踏ん切れませんよね。
でもそんな思いとは裏腹に老眼はどんどん進みます。で、どうしようもなくなったので、老眼を作ろう、いや、どうせなら遠近の方が良いか?
こんな流れで初めて遠近の購入を考えていると失敗する可能性があります。
理由は老眼が進めば進むほどかけにくいメガネになるからです。
上の図で加入度とは平たく言うと老眼の度数みたいな物です。年齢を重ねるほど加入度の大きいレンズにしなければなりません。
遠近レンズは万能ではなく、見える範囲は結構狭いのです。白っぽいところははっきり見えない領域です。はっきり見えない=ちょっと歪んで見える場合もあります。
少しでも早いタイミングで遠近レンズをすればするほど、ぼやける範囲が狭いレンズに成り、その分慣れやすくなるのです。
私たちメガネ屋は老眼がある程度進んだ人にでも遠近両用がかけられるようになるための技術や対応はもちろんします。解決策もあります。それでも年齢が若い方が慣れやすいのも事実です。できれば50歳前後までに初めての遠近両用メガネをかけて頂くと、そんなに苦労せずに慣れると思います。
私が接客でよく言うのですが、「ガマンしても老眼は進みます。なのでガマンせずにメガネの力を借りましょう。きっと眼が,身体が楽になりますよ」
一度考えてみて下さいね。
遠近両用レンズのテストレンズ
遠近両用レンズにはテストレンズがあります。遠近両用だけでなく、中近、近々など。
これら累進レンズをご要望の方には所定の視力測定が終わった後、これらのテストレンズで見え方を体験して頂きます。
当店の場合これは一部です。これ以外にも色々あります。
同じ度数でも遠近と中近とでどう見え方が変わるか。遠近でも汎用品と高付加価値品とではどれだけ見える範囲が変わるか、などいろいろ体験できます。
言葉で言うより体験して頂く方が納得されます。
特にパソコン用のメガネの時など、レンズの違いによってこれだけ違うか!と驚かれる方もおられます。
私たちメガネ屋はその方が何に困っているのか、それはどんな環境でどんな見方をしているのか等を詳しく聞き、もっとも適したレンズのご提案ができるように考えています。決して無理強いはしませんが、「お客様のご要望とちょっと違うかもしれませんが、こんなのもありますよー」ってご提案するとそうか、こんなのもあるのか!じゃあ今回はコレにしよう。なんてこともしばしば(^_^)
累進メガネを作るときはそのスタッフの力量が重要です。
遠近両用レンズを加工する際の注意点
遠近両用レンズは単焦点レンズに比べて度数分布がシビアです。ちょっとのズレでも度数が変わるので、見え方に影響されます。ですので慎重になります。
今回はレンズを削る前までの工程を紹介しますね。
遠近両用レンズはレンズにいろいろプリントされた状態で納品されます。上の赤丸がアイポイント(メガネをかけた時に眼がくる点)。青丸が手元が見える度数になります。横棒は水平線ですが、たまに水平でないときもあるので、別の方法でも水平を確認します。あっ、今回はカラーレンズなのでちょっと色がついていますね。
レンズブロッカーでレンズを加工する位置を決めます。白い枠が今回加工するフレームシェイプです。この方は右眼と左眼の高さが違うため、少し調整しています。画面左の↑1、↑2と示されているのが目の高さの指定場所です。
これがレンズを削る加工機の画面です。フレームカーブとレンズカーブをある程度揃えます。何のことか分かりませんね(^0^;)
さらっと流しましたが、削るまでの工程でした。その後の工程はまた別の機会に。
近々レンズが遠近に?!
累進レンズのひとつに近々レンズがあります。これいわゆる奥行きのある老眼鏡です。60代以上の方で読書もパソコンなどのデスクワークもこれひとつで済む便利なレンズです。
実はこれ50歳前後までの方限定になりますが、遠近両用にもなるんです。
ちょっとややこしいかもしれませんが、数字で説明しますね。
まずこのレンズの度数分布ですが、「近方」と書かれている部分に老眼の度数が入っています。で、「近方奥」と書かれている上方向に行くほど度数がユルくなっていきます。レンズメーカによって多少違いがありますが、1Dとか1.5D(Dはレンズ度数の単位です)くらいユルくなっています。
ここで老眼の度数が1.5Dまでの方にこのメガネを作る場合「近方奥」と書かれている部分がほぼ0D、つまり度数がない状態になるのです。度数がないと言うことは老眼が入っていない素通しの状態と言うことなので、遠くが見えることになるのです。お分かり頂けますか?
デスクワークが中心のお仕事をしている50歳前後までの方がこのメガネをかけると仕事は捗りますし、そのまま遠くも見えちゃうと言う優れものになるのです。
先日パソコン業務が辛いと相談に来られたデザイナーさん(46歳)にこのメガネをお作りしたところ、とても喜んで頂けました。元々近視の方ですのでメガネには慣れておられるのも幸いしました。
興味がある方はしっかりしたメガネ屋さんのスタッフに一度ご相談下さいね。